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社長コラム

発覚(4回表)

2025年5月 1日掲載

2024年11月6日夕方。 我々夫婦は愛犬ピカを連れてとある動物病院へ向かった。
彼女の食欲減退が著しかったためである。 餌を替えてみたり、トッピングをしてみたり
色々な方法を試しては見たが、一向に良くなる兆しは見られなかった。
私は3歳になってからわがままが増えてきたと感じる事も多く
「病院なんて大げさな」と思っていたが、
妻からすると「もっと早く病院に行きたかった」らしい。
10月に行ったかかりつけの病院では「歯肉炎」と診断された。毎日、歯磨きしているのに。
薬をもらったが、良くなる事もなくセカンドオピニオンを聞くべく
「口の中のスペシャリスト」と言われたその先生へ見てもらおうと向かったのである。
念のため、妻は今日の排便を持っていこうと提案してきた。
確かに、ここのところ便が黒っぽい。

新しい病院の院長はベテランの動物医であった。
特徴のある、するどい言い回しでペットの飼主界隈では有名人である。
かかりつけでの診断などを伝え、実際にみてもらう。
「歯肉炎かなぁ。口を触られるのが苦手みたいだからケアはきちんとした方がいいよ」
ここで妻が食い下がる。
「排便も見てもらえませんか?」「ん?...あぁ、いいよ」

便を顕微鏡で確認すると急に目の色が変わった。
「よくないね!この子は土とか食べるの? 便の中に酵素が多すぎる。良くない傾向だわ。
 ちょっと血液検査してみるね。」
血液検査という言葉にびっくりした私達夫婦。ピカを預けた直後にまたもや部屋に呼ばれる。
「お父さん、この子にお酒飲ませてる? 肝臓の数値が振り切れてるよ。」
「いいえ、飲ませてません。」
ベテラン先生は血液の入った小さな細い試験管を細かく振りながら見せる。
「この上の部分見てごらん。ものすごい黄疸がでてるから。肝臓が働いてないよ、この子」
「ええっ??」

事態が緊迫の度合いを増してくるのがわかった。
(4回裏へ続く)

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