HOME »  社長コラム » 胡乱なウーロン茶

社長コラム

胡乱なウーロン茶

2023年12月 1日掲載

コンビニに行くと、飲み物を見てしまう。 夏の酷暑、冬の温暖化による影響だろうか、
ペットボトルのお茶の棚が心なしか増えているように感じるのは私だけだろうか。
今や、緑茶・濃いお茶・麦茶・ジャスミン茶・プーアル茶・マテ茶・ルイボスティーなど様々な種類が当たり前のように出回っているが、私がついつい手に取ってしまうのはウーロン茶である。 なぜなら、ウーロン茶はやせるから、というイメージがあるからだ。

ウーロン茶はピンクレディが流行らせた、という噂がまことしやかにささやかれている。
これは、1979年に「夜のヒットスタジオ」というTVで美容と痩身のために愛飲していると語った事で、ウーロン茶が話題になったから、らしい。
当時、まだまだお茶は家で淹れるものであった。 麦茶はやかんで盛大に沸かし、丸ごと
冷蔵庫に入っていたものだ。あわよくば砂糖を入れた麦茶を親にリクエストしたと、わが子に話したところ、「?でしょ?!」と目を丸くされた。 中国のお茶は、飲み物というよりも漢方薬に片足を突っ込んでおり、「淹れる」でも「沸かす」でもなく、「煎じる」という言葉の方がしっくりしていた。

そこにTVスターが「ウーロン茶」を飲んでいると宣ったのだ。ブームに火をつけた、と言っても反対するものはいないだろう。 今となっては隔世の感すらあるが、当時のTVの影響力というのはすごいものである。
かくいう私もそのあとすぐに父にもらった「伊藤園の烏龍茶」を飲んだ。 今でいうと
缶コーヒーと同じ大きさのどす黒い背景に金の線が描かれたパッケージ。やたらと硬いプルトップを開けると中国四千年の煎じ薬のアロマが鼻を掠める。飲むと、えげつないほど苦い後味。
普通であれば絶対にマッチしないであろう五感のピース一つ一つがピンクレディという「つなぎ」により、驚くほどきれいにくっついて「ダイエットの必需品」に仕立て上げられたのだ。 あの時の「有難がる感」は今思い出しても恥ずかしいものである。
同時期に今も「こんにゃく畑」で有名な会社が「マンナンライフ」を作り、
この二つをもって第一次ダイエットブームというのだそうだ。納得である。
皆がピンクレディの体型になれると信じて飲んでいたのであろう。

などと嘯きながらも、食べ過ぎた後にウーロン茶を飲んでしまう私。
まだまだ健康でいたいと思いながら飲食の煩悩と葛藤する日を過ごすのである。

このページの先頭へ