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社長コラム

山陰旅行6外伝 ユニトリツカレシモノ

2020年8月 1日掲載

まだ一日目の夜、ホテルについたばかりというのに6回目。今回はちょっと
脱線して、私の友人の話になるのですが、お付き合いください。
ホテルについた私達が、一番初めに行ったのは、お風呂でした。ごはんまでちょっと時間があったので、まずはお風呂!という事で、大浴場に向かいました。
時間は6時半。他の宿泊客は今まさに夕食を堪能しておられるのでしょう。
私はご飯を遅く設定し、誰もいない外風呂で、湯と相対しております。

実はこの設定、教えてくれた方がいるのですが、その「ご夫婦」はまさに温泉のプロ。
昔から数ある温泉を訪れ、子育ての終わった今や、2か月に一度は小さな手ぬぐい一つで
群馬県四万温泉に「試合」へ向かうという、稲毛在住のIさんです。
その湯治の仕方も型破り。宿に3時ごろにつくと、お茶も飲まずにすぐに一つ目の風呂へ
直行!誰もいない風呂で湯との15分の対決を行います(笑)。 それを、ご飯までに6か所繰り返すという、まさに「温泉アスリート」。ご夫婦は別々に行動し、たまに同じ温泉でかち合うと「チッ!」と目線の火花が散るというほどの「真剣勝負」をされておられるのだとか。
もちろん、宿につくまでの間に、「どこをどのようにして回るか」という戦略、そして
「この部屋からはこの風呂が近い」という空間把握能力、すべての持てる力を研ぎ澄ましイメージトレーニングをしてから、「湯」に挑みます。
そうして、温泉と対決した後は、四万温泉街のお店で店主やお客さんと、食べたり飲んだりしゃべったりと、戦いの疲れを少しだけ癒し、まさかの「夜間試合」へと消えるのだそうです。旦那さんは、遠い目をして煙草をくゆらせながら私に語ります。
「夜には...夜には、夜の顔があるんだよ、温泉にはね」(笑)。

そんなお二人に、「食事をずらして、まずはひとり温泉と向き合ってみな」と、アドバイスを頂き、一人湯舟にいると、周りの湯面が波紋を描き、植え込みの木の葉擦れの音が風に乗って両の掌をかすめ、すぐ先の闇へふっと消えました。
「これが...夜の顔?!」松江の露天で、湯に対峙するお二人の気持ちがわかったような気がしたかもしれません。

次回へ続く

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