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社長コラム

初眼鏡

2019年6月 1日掲載

 ゴールデンウィークは、いかがお過ごしでしたでしょうか?10連休、そして元号が変わるという事もあって、異例づくしの連休でしたね。私も、個人的に初めての事がありました。小学校のころから「目だけは良い」で有名な河野君でしたが、このところ、本を読むことが少し億劫になり始め、そして内容もあまり頭に入らないという事態に自分自身びっくりしておりました。
 そこで、ゴールデンウィーク中に一大決心、眼鏡屋さんのドアをたたくことに。半ば強制的に妻にも同行してもらい、「視力検査」という様々な試練に立ち向かう事にしたのです。いくつかの機械の前に立ち、勇気を振り絞って今まで経験したことのない検問を受けました。「店員さんはこういう事を聞いてきたぞ!これは一体何を聞き出そうとしているんだ?」「敵はひらがなを読んでくれといっているぞ!何となく読めるけど、ここでは見えないと言ったほうが良いのだろうか??それともこれは何かの罠ではないのか?!」「おお!文字がはっきり見えるぞ!でもここで喜んでいい物なのか?!実はこの後に衝撃の展開が?!」
 数々のトラップを潜り抜けたところで、おそらく自分の店でしつらえたであろう冷たい縁色の眼鏡の店員は、その心を読まれないように厚いガラスを天井の照明で反射させながらこう答えたのです。「河野さん...。乱視ですね。今まで近いところを見るのが大変だったでしょう?」
 人間って、不思議なもので...。
 今まで特殊捜査機関の手先であるかのように思っていた面前の男の顔は、自分の悩みを言い当てていた(しかも、その話は一番初めに私が彼に自分から話している事のオウム返しであるにもかかわらず、だ)ことで、まるで印象が変わり、青白く冷たい光を放っていたと思われた眼鏡の縁でさえも、桜貝のように温かみを帯びたように見えるのです。冷笑のように映っていたこの男性の口元は、昔から私を見守ってくれていた近くの文房具店のおじさんのように柔らかい印象に変っていました。こうなると、この男性の方(笑)のいう事は120%真実と思われ、即時に購入に至りました。
 意気揚々と控室に帰ってきた私に、妻は暖かく「...長い!」とその労をねぎらってくれたのです。

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